厚生労働省年金局事業管理課長から日本年金機構事業管理部門担当理事宛に「「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」」の一部改正について」という事務連絡が発出されました。
この事例集には、テレワークにおける交通費および在宅勤務手当の社会保険上の取り扱いが示されています。変更点の概要は以下のとおりです。
1.在宅勤務・テレワークを導入し、一時的に出社する際の交通費を事業主が負担する
場合、その交通費が「報酬等」に含まれるどうかは当該労働日における労働契約上
の労務の提供地が自宅か事業所かで異なる。
・労務提供地が自宅の場合:
業務命令により事業所等に一時的に出社し、その移動にかかる実費を
事業主が負担する場合、当該費用は原則として実費弁償と認められ、
「報酬等」には含まれない。
・労務提供地が事業所の場合:
自宅から当該事業所に出社するために要した費用を事業主が負担する
場合、当該費用は原則として通勤手当として「報酬等」に含まれる。
2.在宅勤務・テレワークに際し、在宅勤務手当が支給される場合「報酬等」に
含まれるかは以下の基本的な考え方にのっとり、支給要件や支給実態をふまえ
個別に判断される。
・労働の対償として支払われる場合(実費弁償にあたらない):
在宅勤務手当が、在宅勤務に通常必要な費用として使用されなかった
場合でも、その差額を事業主に返還する必要がないものであれば
「報酬等」に含まれる。
(例)毎月5,000円を渡し切りで支給する。
・実費弁償にあたる場合:
通信に要する費用など、その手当が業務遂行に必要な費用にかかる
実費分に対応するものと認められるのであれば、当該手当は実費
弁償にあたるものとして「報酬等」に含まれない。
(例)労働者が業務のために使用した通信費等を立替払いにより負担
した後、その明細書を企業に提出して精算する。
一括で請求される費用のうち、業務のために使用した部分を
合理的に計算し、当該部分を実費弁償分とする。
3.在宅勤務・テレワークの導入に伴い、新たに実費弁償にあたらない在宅勤務手当が
支払われることとなった場合は、固定的賃金の変動に該当し随時改定(いわゆる
月変)の対象となる。
・同時に複数の固定的賃金の増減要因が発生した場合:
それらの影響によって固定的賃金の総額が増額するのか減額するのか
を確認し、増額改定・減額改定のいずれの対象となるかを判断する。
・新たに変動的な在宅勤務手当の創設と、変動的な手当の廃止が同時に
発生した場合:
創設・廃止される手当額の増減と報酬額の増減の関連が明確に確認で
きない場合は、3か月の平均報酬月額が増額した場合、減額した場合
のどちらも随時改定の対象となる。
・一つの手当において、実費弁償分であることが明確にされている部分
とそれ以外の部分がある場合:
当該実費弁償分は「報酬等」に含める必要はなく、それ以外の部分は
「報酬等」に含まれる。この場合、月々の実費弁償分の算定に伴い
実費弁償分以外の部分の金額に変動があった場合でも固定的賃金の
変動に該当しないことから、随時改定の対象とはならない。
Kommentare